2x4四国支部

森林の気温緩和効果についての研究

スギ人工林と広葉樹林内の気温の日変動と年変動

森林内の気温は林外に比べ夏期は涼しく、冬期は暖かいと言われています。
森林の違いにより、気温の変化はどのようになるか、また、地上部と地下部での気温の日変動と年変動はどのようになっているかについて検討しました。

調査方法

 調査地は林業総合技術センター構内のスギ精英樹林(30年生、平均樹高:16.5m、平均胸高直径:22.2cm)と広葉樹林(樹木園、~43年生)の2林分に設定しました。

 気温はサーモレコーダーRT-10を用いて、地上2.5m・地上1.5m・地下10cm・地下30cmの4ヶ所の2林分と、百葉箱2ヶ所(対象地)の合計10ヶ所で測定しました。測定期間は平成7年6月~平成9年3月です。

気温の年変動

 日平均気温の林外との気温差の年変動を図1に示します。

 春と秋は季節の変化点となり、この時期は地上部・地下部共によく似た気温分布になり測定場所間の気温差は少なくなります。また、夏は地上部が地下部の気温より高くなり、反対に冬は地下部が地上部の気温より高くなっています。

 地上部の気温で、広葉樹林がスギ林より高いのは平成7年8月のみに認められ、他の月では林種の差や測定の高さの差は認められません。地下部の気温は夏は地下部の深いところが涼しく、冬は地下部の深いところが暖かいようです。

 1日の最高気温と最低気温の差を日差気温として、図2に日差気温の年変動を示します。

 百葉箱・地上部・地下部の順で低くなっています。夏期はスギ林内、冬季は広葉樹林内の1日の気温差が大きいようです。また、地下部では30cmの1日の気温差が小さくなっています。

気温の日変動

 図3にスギ林地上1.5mの林外との気温差の日変動を示します。

 1日の変動は、20~23時より翌日の6~8時までは水平に推移し気温変化は少なく、6~10時に低下し、9~10時が林外との気温差が一番高くなり、その後10~20時には上昇傾向になっています。

 月別にみると、春~夏は午前は左に移動し早い時間から気温が低下し、午後は右に移動し気温の上昇時間が長くなり、夜間が短くなっています。秋~冬は昼間の林外より低温の時間が短く、夜間が長くなり、1日を平均すると気温も林外より高くなっています。広葉樹林もよく似た気温変動を示します。夏期は1日中林外より低い気温となっています。

 地下部の気温分布はスギ林・広葉樹林の10cm・30cm共によく似た分布を呈した凹型となりました。図4に広葉樹地下10cmの林外との気温差の日変動を示します。

 20~23時より翌日の6~8時までは水平に推移し、その後低下し13~14時が最低で林外との気温差が一番高くなり、それから上昇傾向になります。月別変動では春~夏は下に移動し、秋~冬は上に移動します。地下部の気温が林外より高温になるのは、冬季が多くなっています。

まとめ

 森林の気温の緩和効果では、一般に夏期は涼しく、冬期は暖かいと言われています。今回の調査でもこの傾向は認められ、調査期間の平均で林内気温は林外より0.3~0.5℃低くなり、地下部の気温も林外より0.6~1.2℃低くなっています。

徳島県立農林水産総合技術センター 森林林業研究所 技術情報カード No.11(2000年3月)より
※徳島県立農林水産総合技術センター 森林林業研究所の了解を得て掲載しています。

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