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徳島杉の心材の耐蟻性はヒノキ同等

徳島杉がシロアリに対してどれだけ強いのか?
徳島県林業総合技術センターの実験によると、徳島杉の心材はヒノキと同等の耐蟻性を持っているそうです。

徳島杉土台角の耐蟻性評価

はじめに

住宅の土台角としてはスギやヒノキが好まれますが、耐久性を比べた場合、スギがヒノキと比べて大きく劣っているわけではありません。たとえば、心材の耐久性の区分でヒノキはⅡ(大)に、スギはⅢ(中)に区分されています。

一方、耐蟻性の分類ではヒノキ、スギともに中にランク付けされています。また、土壌に設置した場合の主な樹種の心材の耐用年数ではヒノキが7年、スギが6年と大差はありません。

そこで、実際に土台に使用されている木材(スギ、ヒノキ、その他)をイエシロアリに食害させ、耐蟻性を比較しました。

シロアリの種類

現在、シロアリは世界中で2,400~2,500種類が知られていますが、日本に生育するシロアリは16種類で、そのうち木材に大きな被害を与えるのは、イエシロアリとヤマトシロアリの2種です。

イエシロアリは神奈川県以西に分布し、世界中で最も被害の激しい種類の一つです。加害速度は速く、水を運ぶ能力があるため、被害は建物全体に及びます。また、古い材よりもむしろ新しい材を好みます。

ヤマトシロアリは北海道北部を除いて日本全土に分布し、そのため被害件数は最も多くなっています。湿潤で腐朽した材を好んで食害するため、特に水まわりに被害が多く、雨漏りがある場合は小屋組材まで加害することもありますが、加害速度はそれほど速くありません。

表1 日本において経済的に重要なシロアリ種

試験方法

供試材料にはスギ心材および辺材、ヒノキ心材、ベイマツ心材、ベイツガ心材を用いました。試験体数は各10体、試験体形状を木口面100mm×100mm、長さ100mmとし、京都大学木質科学研究所内のイエシロアリ飼育槽上に3ヶ月設置しました。

この飼育槽ないの環境条件は、気温28℃、湿度75%~80%、1飼育槽内におけるイエシロアリの個体数は50~100万頭でした。その間、1ヶ月ごとに目視観察による被害度及び被害面数の測定を行うとともに質量減少率を求めました。

被害度は以下の「被害度の区分」により評価しました。

区分 被害状況
被害なし
部分的に軽微な被害
全体的に軽微な被害
2に加え、部分的に激しい被害
全体的に激しい被害
被害により形が崩れる

結果および考察

図1は平均被害度を示しています。スギ心材とヒノキ心材はシロアリの食痕が痕跡程度であり、ほぼ無被害でした。

スギ辺材については平均被害度2.2ですが、材中に含まれる心材部分はほとんど食害を受けていませんでした。

ベイマツはスギ辺材とほぼ同じ平均被害度3.6で今回の試験では最も大きな被害が確認されました。

1 目視による平均被害度

図2は平均被害面数を示しています。平均被害度の結果と同様の傾向であり、スギ心材は0.6面、ヒノキ心材は0.5面と同程度でした。

ベイツガは5.2面と最も被害面数が多く、最初の1ヶ月間でほとんどの面で被害を受けていたことがわかります。

図2 目視による平均被害面数

図3は推定質量減少率を示しています。

スギ心材、ヒノキ心材は低い減少率であることがわかりました。一方、ベイツガは3ヶ月後では約40%まで減少し、大きく食害される危険性があると考えられます。

図3 含水率15%としたときの推定質量減少率

おわりに

木材の耐蟻性による分類は試験法やシロアリの種類によってその順位が変動しやすく、一般的な分類は困難とされています。しかし、今回の試験結果においては、スギおよびヒノキの心材ともに食痕が痕跡程度であり、ほとんど被害を受けておらず、耐蟻性に関しては同程度の性能を期待できることが推測されます。

徳島県立農林水産総合技術センター 森林林業研究所 技術情報カード No.4(1999年8月)より
※徳島県立農林水産総合技術センター 森林林業研究所の了解を得て掲載しています。

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