木は水に強い
木の樽で寝かせてこそできる銘酒
木が水に強いことは酒づくりの世界でも生かされています。ワインもウィスキーもブランデーも、多くのお酒は木でできた樽で貯蔵されています。
これは単に木が耐水性に優れているだけでなく、木が切られたあとも生きて呼吸しているという性質を最大限に生かしているのです。
貯蔵されているお酒も生きていますので、密閉に近い状態でなお、かすかな呼吸を必要とするのです。ボトルに詰められたワインも、木の一種であるコルクを通して呼吸し、瓶の中でも熟成を続けられます。
ちなみに、もともとは無色透明の蒸留酒であるウィスキーやブランデーの琥珀色は、樽で眠っている間に木のタンニンによって自然に着色されたものなのです。また、樽は呼吸しているため、中のお酒は少しずつ蒸発しますが、フランスのブランデーづくりの人々はそれを「天使の飲み分」と言っているそうです。
合板で作られた太平洋横断ヨット
もう30年ほども前になりますが、一人の無名な青年が、小さなヨットで単独太平洋横断を果たし、一躍ヒーローになりました。
「太平洋ひとりぼっち」(主演石原裕次郎、監督市川昆)という映画にもなった堀江青年のヨット「マーメイド号」は木造ヨットだったのです。
当時、木は、とくに合板は水に弱いと誤解されていました。
マーメイド号は過酷な太平洋無寄港横断を無事成し遂げ、結果として、合板の耐水性をも証明することになりました。
丸太をかつら剥きにした薄い板(単板、ベニヤなどという)を、接着剤で張り合わせて作った板。通常は、奇数枚の単板を繊維方向が一枚ずつ直交するように張り合わせてある。単板の枚数はプライ数と呼ばれ、3プライ、5プライ、7プライなどが標準。なお、単板の繊維方向をそろえて張り合わせたものは単板積層材(LVL)という。
合板はベニヤ板と呼ばれたり「ごうばん」と発音されたりすることがあるが、「ごうはん」が正しい。
合板の特徴は、(1)割れにくい、(2)強度の異方性が小さい、(3)他のボード類と比べて強い、(4)他のボードと比べて含水率変化による収縮膨張が少ない、(5)他のボード類に比べて耐水性が高い