NLTで準耐火構造大臣認定および木造建築新工法性能認証を取得
一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会(会長:池田 明 <三井ホーム株式会社 代表取締役社長> )は、ツーバイフォー工法用の構造用製材を使って製作する構造材:NLT(Nail-Laminated Timber)の研究・開発に2017年度より取り組み、このたびNLTによる床版、屋根版について、準耐火構造大臣認定(床:1時間、屋根:30分)および木造建築新工法性能認証(認証機関:公益財団法人 日本住宅・木材技術センター)をカナダ林産業審議会と共同で取得しました。
今回の準耐火構造大臣認定の取得により、ツーバイフォー建築の床・屋根の構造材としてNLTを「あらわし」で使用し木質感を醸し出すことができます。
また、木造建築新工法性能認証を取得したことにより、短い製材を継いで製作するNLTの長尺パネル(実長約12m、支持スパン8m)によって「大空間」の設計対応が可能となります。
NLTは、一般に市場で流通しているツーバイフォー工法用の構造用製材(206材、210材などのディメンションランバー)と釘を使用して製作する構造材で、ツーバイフォー建築の床版・屋根版として使用します。
北米では100年以上前から商業施設などの大型木造建築物にNLTが使用されています。
当協会では、2017年度に学識経験者等で構成する「NLT研究開発委員会」を設置し、カナダ林産業審議会の協力や林野庁補助事業採択のもと、ツーバイフォー工法の床版・屋根版としてのNLTの実用化に向けた研究・開発をスタートさせました。
構造面では、NLTによって床の支持スパンを伸ばし「大空間」を実現するために、8m支持スパンのNLT長尺パネルの製作を目標にして研究・開発を進めました。
ツーバイフォー工法用の構造用製材の長さは一般的には6mまでですが、これを継いで製作するNLT長尺パネルについて木造建築新工法性能認証取得に向けた準備を進め、ジョイント部分の留め付けや材の構成方法等に関する検討を重ね、接合部耐力試験や曲げ試験、クリープ試験などを実施し、NLT長尺パネルについて構造安全性を確認しました。
防耐火に関しては、NLTによってツーバイフォー工法で構造材の「あらわし」を実現するため、床の1時間準耐火構造、屋根の30分準耐火構造の大臣認定取得に向けた研究・開発を進めました。
ツーバイフォー工法の床版・屋根版としてのNLTについて材の構成方法や留め付け方法などを検討し、燃焼試験を実施することで所要の性能を満たすことが確認され、準耐火構造大臣認定を取得しました。
今後は、今回取得した準耐火構造大臣認定および木造建築新工法性能認証の内容、各種性能検証の成果等を取りまとめ、NLTを利用するための手引書の作成や情報発信を行い、より多くの方々にツーバイフォー工法の部材としてNLTを活用いただきたいと考えています。
そして、NLTの利用促進を通じて、木造建築物としてのツーバイフォー建築のさらなる普及・発展に貢献できるよう努めてまいります。
本件についての詳細はPDF 「NLTで準耐火構造大臣認定および木造建築新工法性能認証を取得」をご覧ください。